食生活の欧米化によって、生活習慣病になる方が日本でも急増しています。
生活習慣病と肥満は切っても切り離せない関係にありますが、女性だけでなく、男性にとっても肥満はできれば避けたいものではないでしょうか。
男性と女性では、肥満になる原因が異なっているように思います。
男性の肥満の特徴
男性の場合は、学生時代にスポーツ活動をして、エネルギーを消費した分、食事もがっつり食べていた。でもスポーツを行うことによって消費されるエネルギーも大きかったため、たくさん食べてもそれほど太ることはなかったと思います。
しかし、就職して忙しくなり、身体を動かす機会が減ったにも関わらず、学生時代と同じような食生活をしていると、消費カロリーと摂取カロリーのバランスが崩れ、エネルギー過剰摂取となり、徐々に肥満の道へと進んでいきます。
さらにトレーニングを行わなければ、老化により筋肉量も徐々に減少していきますので、基礎代謝量が減り、太りやすくなってきます。
女性の肥満の特徴
男性に比べて女性の肥満の特徴はというと、多くは、妊娠・出産を機に、体重が増えてしまった、という方が多いのではないかと思います。
出産のたびに体重が5kgずつ増えたとかいう方も多いのではないでしょうか?
また、女性の特徴として、閉経を迎えることで、ホルモンバランスの変化が起こります。
閉経を迎えると、それまで分泌されていた女性ホルモンの分泌量が減少するため、女性も男性と同じように内臓脂肪が蓄積しやすくなり、生活習慣病のリスクが増えてきます。
女性は、女性ホルモンの影響により、男性よりは内臓脂肪は蓄積しにくい状態にあります。でも、閉経によって女性ホルモンの分泌量が減少すると、女性であっても内臓脂肪が蓄積しやすくなってしまいます。
一般的に、男性の肥満の特徴は、内臓脂肪が蓄積することによってお腹周りが大きくなるため、りんご型肥満とも呼ばれます。
逆に女性の場合は、内臓脂肪よりも皮下脂肪が蓄積しやすくなります。この皮下脂肪は殿部や下肢に付着しやすく、下半身太りの状態になるため、洋なし型肥満とも呼ばれます。
女性の肥満の状況
厚生労働省が発表している、平成27年度の国民健康・栄養調査によると、40〜60歳代の女性の約20%が、肥満に該当すると報告されています。20〜30歳代の女性の肥満の割合が約6〜10%程度ですので、約2倍程度、肥満の方が増えていることが分かります。
また、この国民健康・栄養調査の結果で、肥満の方は、非肥満の方と比べて、運動習慣が少ない傾向にあることも分かっています。
妊娠と肥満について
これから妊娠・出産を考えておられる方は、是非とも体重コントロールをしっかりと行い、肥満にならないようにしてもらいたいと思います。
体重は多すぎても少なすぎても、月経異常や不妊のリスクの増大につながります。
報告によると、無月経女性の45%が肥満であるということも言われています。(1)
また、肥満妊婦の方では、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群、巨大児、帝王切開率の増加など、妊娠・出産に関するリスクが増えてきます。
妊娠糖尿病になると、治療によって妊娠糖尿病が治っても、その後、糖尿病を発症するリスクは、妊娠糖尿病になったことがない方と比べて、高い傾向にあることが分かっています。
まとめ
肥満は様々な健康障害を引き起こす原因となりますので、できる限り予防していくことが大切です。
肥満の予防・改善には、食事と運動のバランスが重要です。
暴飲暴食やファストフードなどの高カロリーな食事はできるだけ避け、定期的に適度な運動を行うことで、心身ともに健康的な生活を送っていきたいものです。
参考文献
*1)杉山隆 他:産婦人科領域からみた女性の肥満.肥満研究23(1),15-20,2017