よく聞かれることの一つに、筋トレと有酸素運動は、どちらを先にした方がいいのか?ということがあります。
何を目的にするのかにもよりますが、ダイエット目的で体脂肪を減らしたいとお考えでしたら、筋トレを先にした方が、効率的に脂肪を燃焼させることができます。
運動を行うための3つのエネルギー供給系
通常、ジョギングなどの有酸素運動では、開始直後はほとんど脂肪は使われていません。
ヒトのエネルギー供給系には3つのルートがあります。
ヒトの3つのエネルギー供給系
- ATP-PCr系
- 解糖系
- 有酸素系
この中でATP-PCr系はエネルギー供給スピードが非常に速く、短距離走などの瞬発系の運動時によく使われるエネルギー供給ルートです。
エネルギー供給速度が非常に速いのですが、短時間しかもたないというデメリットもあります。
逆に有酸素系はエネルギー供給速度がATP-PCr系に比べると非常に遅いのですが、酸素がある限り、半永久的にエネルギーを供給することができるというメリットがあります。
解糖系はATP-PCr系と有酸素系の間くらいに位置しています。
また、解糖系によるATP産生では、乳酸が代謝産物として作られるという特徴もあります。
ジョギングなどの有酸素運動は酸素を使った運動です。
そのため、ジョギングなどの有酸素運動では、ATP(エネルギー)を作り出すために脂肪を用いて有酸素系でATPを作り出すのですが、先ほど説明したように、有酸素系は供給スピードが非常に遅いため、運動開始直後は有酸素系でのATP産生が間に合わず、代わりに糖質を使用して解糖系でATPを作り出して運動を行っています。
その後、徐々に脂肪を使用した有酸素系でのATP産生に切り替わっていきます。
よく、ジョギングなどの有酸素運動は、最初のうちは脂肪が燃焼しないから、最低でも20〜30分以上はしないといけないと言われるのは、このためです。
なぜ筋トレを先にした方が、効率よく脂肪を燃焼できるのか?
それでは、なぜ筋トレを先にした方が効率よく脂肪を燃焼できるのでしょうか?
筋力トレーニングなどで筋肉に負荷をかけると、副腎という臓器からカテコールアミンというホルモンが分泌されます。
これが肝臓に作用することで、脂肪細胞に蓄えられていた脂肪が、血液中に放出されます。
通常、その後何もしなければ、血液中に放出された脂肪は、再び脂肪細胞に取り込まれてしまうのですが、筋トレ後にカテコールアミンの作用で血液中に脂肪が放出された状態で有酸素運動を行うと、運動開始の初期段階からATP産生のために効率よく脂肪を使うことができるようになるんです。
そのような理由から、ダイエットで体脂肪を減らしたいとお考えの方には、ジョギングなどの有酸素運動を行う前に、筋トレを行うことをおすすめします。