年末に「日本人はなぜ臭いと言われるのか」という本を読みました。

日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学 (光文社新書)
- 作者: 桐村里紗
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2018/06/13
- メディア: 新書
体臭や口臭ってとても気になるけど、自分ではなかなかわかりづらいもの。
でも体臭や口臭などのいやなニオイは、他の人に不快感を与えてしまうので、やはり気を付けておきたいものです。
せっかくオシャレな格好をしていても、体臭や口臭がきついと、印象もちょっとマイナスになってしまいますよね。
「マンダム職場のニオイに関する意識調査2017②」によると、職場での周囲の身だしなみで“どうにかして欲しいこと”の第1位は体臭で、67.1%、第2位は口臭で60.2%だったそうです。
流石に体臭や口臭を全くの無臭状態にすることは困難ですが、せめて他の人から不快に思われない程度には保っておきたいですよね。
でもこの体臭や口臭などのニオイは、エチケットの問題だけでなく、実は健康にも深く関係しているんです。
口臭の原因
口臭の原因となっている最も大きな要因は歯周病ですが、この歯周病菌は口腔内の環境を悪くするだけでなく、全身の健康状態にも大きく影響を与えてしまいます。
この歯周病菌が炎症を引き起こすことで、動脈硬化や糖尿病、認知症、がん、老化などの健康被害の要因になることはテレビでもよく取り上げられています。
歯周病にかかっている人は、35歳以上の日本人の約8割にのぼると言われていますので、他人事ではありません。
また、口臭だけでなく不快な体臭も、ストレスやライフスタイルの乱れ、生活習慣病、加齢などが原因と言われていますので、体臭や口臭などのニオイをコントロールすることは、自分の健康状態を良好に保っていく上でも重要なことです。
体臭や口臭があると、口腔用や身体用などの消臭剤を使って、いわゆる臭いものに蓋をするようなことをやりがちですが、それは一時しのぎにしかならず、根本的な原因の解決にはなっていません。
大切なのは、ニオイの原因を知り、それに対して対処をすることです。
口臭をコントロールするために必要な口腔内フローラ
健康な人の口腔内には、約700種類、歯磨きなどで口腔ケアが十分にできている人では約2000億の常在菌が存在しているそうです。
腸内フローラと同じように、口腔内もたくさんの常在菌によって口腔内フローラが形成されており、常在菌同士が助け合いながら適切な口腔内環境を保っています。
しかし、口腔ケアが十分にできていない、いわゆる口腔内環境が良くない人は、この常在菌が4000億〜6000億まで増殖しているそうです。
この増えすぎた常在菌が、炎症の原因になっているとのこと。
常在菌は食べかすを栄養源として増殖し、食後8時間程度でバイオフィルム(歯垢が何層にも重なり合った状態)を形成し、歯にこびりついてブラッシングなどでは取れなくなってしまいます。
歯周病菌によって歯茎などに炎症が起き、口臭がきつくなってきます。
そのため、歯周病を予防するためには常在菌をコントロールすることが重要になってきますが、その常在菌のコントロールに重要な役割を果たしているのが、唾液です。
殺菌作用のある唾液の分泌量が減少したり、流れが滞ることで口腔内の常在菌が増殖し、口臭の原因になります。
朝起きた時は口腔内が乾いているので、口臭がきつくなっていますよね。
正しい食後の口腔ケア
虫歯予防のために食後はすぐ歯磨きをするという方も多いと思いますが、実はこれが落とし穴。
食後にすぐ歯を磨くという行為は、実は口腔内環境のためには良くない方法なんです。
食後は食べ物の影響で口腔内が酸性に傾いていますので、その状態で研磨剤が入った歯磨き粉などを使って歯をブラッシングすると、歯のエナメル質が削れてしまいます。
また、食事によって分泌された唾液を、歯磨きによって洗い流してしまうことにもなります。
食後は酸性に傾いた口腔内が中性に戻るのに60分ほどかかるそうで、それ以降に歯磨きをした方が、口腔内環境を適切に保つためにはいいそうです。
本書では、歯の最適なケアのタイミングを以下のように示されています。
- 起床時:歯磨き+口すすぎ
- 各食後:歯間ケア+唾液分泌法+口すすぎ
- 就寝前:歯磨き+口すすぎ
口臭にはストレスや呼吸の仕方も関係している
適切な口腔内環境を保つためには、ストレスコントロールや呼吸の仕方も大切です。
過剰なストレスがかかると交感神経が有意になるため唾液の分泌が減少し、口の中が乾きやすくなるため、口臭がきつくなります。
そのため、自分に合ったストレス解消法を見つけておくことも大切ですね。
また、口呼吸をしている人は、口の中が乾きやすいので、口臭の原因にもなります。
口腔内環境を適切に保つためにも、口呼吸ではなく、鼻呼吸をするように心掛けましょう。
口呼吸には姿勢も関係してきますので、口呼吸をしやすい人は、姿勢も見直してみることが大切です。
口臭は他人に不快感を与えるだけでなく、自分の健康にも大きく関わってきます。
正しいオーラルケアを行い、適切な口腔内フローラを保つようにしましょう。

日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学 (光文社新書)
- 作者: 桐村里紗
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2018/06/13
- メディア: 新書