扁平足は足の問題だけにとどまらず、全身に影響を及ぼすことがあります。

歩行をサポートする足のアーチ構造

足にある3つのアーチ構造(内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチ)。その中でも、土踏まずを形成しているのが内側縦アーチです。

このアーチがあることで、歩行時に脚にかかる衝撃を吸収したり、効率よく疲れにくい歩行をサポートするなど、二本足で歩く人間にとっては、とても重要な構造です。

このアーチは、主に骨格構造と足底腱膜と呼ばれる、筋膜が厚く肥厚した組織によって支えられています。

実際に足底腱膜を切断してしまうと、内側縦アーチの剛性が約25%低下してしまうとも言われています。

そのように、足底腱膜は足のアーチを形成する上でとても重要な組織ですが、もちろん足底腱膜だけで足部の安定化機構が保たれているわけではありません。

足底腱膜と共に、能動的に足部の安定化機構を支えているのが、内在筋と呼ばれる足部の筋肉です。

足のアーチ構造を陰でサポートしてくれている足の内在筋

Fiolkowskiら1)が行なった研究によると、内在筋の一つである母趾外転筋(足の親指を曲げたり開いたりする筋肉)を支配している神経の神経ブロックを行ったところ、母趾外転筋の筋活動量が神経ブロックを行う前の約27%に低下したそうですが、その状態で座位から立位になったところ、神経ブロックを行う前は、舟状骨(内側縦アーチの頂点に位置している骨)の低下が約6mmであったのに対し、神経ブロックを行い、母趾外転筋の筋活動量が低下した状態で座位から立位になったところ、舟状骨の低下が約9mmにまで増加したことが報告されています。

このことからも、足の内側縦アーチは、骨や足底腱膜のみで支えられているわけではなく、母趾外転筋などの足部の内在筋の能動的な活動も、内側縦アーチを支える上では、とても重要であることがわかります。

そのことを考えると、若い頃にはしっかりとした土踏まずがあったとしても、加齢により筋力が低下していくと、徐々に足部のアーチが低下し、扁平足になってしまうということも考えられます。

足のアーチの低下が姿勢に及ぼす影響

このように、骨の構造や足底腱膜、足部内在筋によって足のアーチは支えられているのですが、何らかの原因で足のアーチが低下し、いわゆる扁平足の状態になると、それは足部だけの問題に留まらず、全身の姿勢制御にも影響を及ぼしてきてしまいます。

「運動連鎖」という言葉がありますが、これは足の裏などが床面に接して固定されている時に筋肉の収縮を行なった場合、その筋肉が動かしている関節だけでなく、隣接する関節にも影響を及ぼすような状態を指します。

運動連鎖による現象の中で、最も運動連鎖による関連性が強いものが、足部の回内・回外と脛骨の内旋・外旋の関係と言われています。

アーチの低下によって足部の回内が起こると、それが脛骨の内旋を引き起こし、脛骨の内旋がさらに大腿骨の内旋を引き起こし、大腿骨の内旋がさらに骨盤の前傾(反り腰のような状態)を引き起こすといった、いわゆる運動連鎖によって、足部のアライメント異常が、全身の姿勢にも影響を及ぼしてくるのです。

もちろん、足関節から遠くになればなるほど、その影響は弱まっていきますので、足部の過回内の割合が、そのまま同じ割合で大腿骨の内旋や骨盤の前傾を引き起こすわけではありません。

しかし、扁平足で足のアーチ構造が崩れてしまっている場合、それは単にアーチの低下という問題だけに留まらず、その上の下腿や大腿、骨盤などのアライメントにも少なからず影響を及ぼしてしまうので、注意が必要なんです。

この足部の過回内により下腿が内旋方向にねじられ、その結果、膝関節への負担が増加し、膝の痛みにつながることもあります。

そのため、膝に痛みがある場合、立った状態や歩いている時に、足部のアライメントが崩れていないかを調べることも大切です。

この運動連鎖は、関節の変位が小さい時は、運動連鎖としての現象が現れてきますが、変位が大きくなると、バランスが崩れやすくなるため、運動連鎖よりも姿勢制御の方が優先され、通常の運動連鎖とは異なった現象が出てくることもあります。

加齢による足のアーチの低下を予防するためにも、足の内在筋のトレーニングをしましょう!

冒頭で書いたように、足のアーチは骨格構造や足底腱膜だけでなく、足の内在筋の働きも重要な要素の一つです。

加齢による筋力低下は、そのような足部の内在筋にも起こってきます。

加齢による足のアーチの低下は、そのような足部内在筋の筋力低下も、原因の一つです。

足部内在筋は、両足立ちよりも片足立ちのような、より不安定な状況の時に、筋活動量が増えることが分かっています。

加齢による足部アーチの低下を予防するためには、意識的な足部内在筋の筋力トレーニングも重要になりそうです。

参考文献

1.Fiolkowski P, et al :Intrinsic pedal musculature support of the medial longitudinal arch:An electromyography study. J Foot Ankle Surg, 42:327-333, 2003